フィリピン科学技術省(DOST)は4月12日、フィリピンとハンガリーの「科学技術協力の促進・発展」を目的とした二国間協定に調印したと発表した。この協定は両国の研究・開発・イノベーション(RDI)ロードマップを推進するものである。
タギッグのボニファシオ・グローバル・シティにあるハンガリー大使館で4月8日、フィリピンのフォルチュナト・デラペニャ(Fortunato T. de la Peña)科学技術相とティタニヤ・トース(Titanilla Tóth) 駐フィリピン・ハンガリー大使が了解覚書(MoU)に署名を行った。
ハンガリー国家研究開発革新局(NRDI)は非常に強力な戦略的RDIプログラムを運営しており、大学や産業界にも強いつながりをもつ。
MoUに署名するフォルチュナト・デラペニャ科学技術相(左)とティタニヤ・トース大使 (Photo by Henry A. De Leon, S&T Media Service, DOST-STII)
今回のMoUは、共同研究開発や研究者の派遣・交流、奨学金や研修プログラムによる能力開発だけでなく、研究に関する政策における両国の相互協力を見込んだもの。特に持続可能な農業、情報通信技術、量子技術などの分野が対象となる。
MoU調印式には、ハンガリー国防省(MOD)国際協力担当次官補リア・J・ブエンディア(Leah J. Buendia)博士、先進科学技術研究所(DOST-ASTI)所長フランツ・A・デ・レオン(Franz A. de Leon)博士、ハンガリー大使館ダーヴィド・アンブルス(Dávid Ambrus)副館長およびガーボル・レホーツ(Gábor Lehőcz)貿易担当が出席した。
調印式では、トース大使からフィリピン政府が量子コンピューター分野での協力に特に関心を持っていることが紹介された。デ・レオン所長は「フィリピンもハンガリーのように、この非常に若い技術から恩恵を受けるでしょう。フィリピンウイルス研究所(VIP)では、新薬やワクチンの開発を加速させるために量子コンピューターが必要です」と、量子コンピューターの重要性を強調した。
量子コンピューティングは、医薬品・ワクチン開発だけでなく、物流の最適化、新素材のシミュレーションと開発、天気予報、人工知能(AI)・機械学習などの分野での活用も期待されている。
デラペニャ科学技術相は、「私たち科学技術省が二国間協定で量子コンピューターについて議論するのは今回が初めてです」と述べ、今後の進展への期待を示した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部