2022年06月
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サイバー犯罪には法律、投資、国際協力が重要 TechXサミットでシンガポール国家安全保障調整相

シンガポール上級相兼国家安全保障調整相のテオ・チーヒエン(Teo Chee Hean)氏は、各国の国土安全保障に関する技術動向を議論するTechXサミットで開会の挨拶をし、サイバー犯罪に対処するため、法律の改定、能力開発への投資や国際協力の必要性を訴えた。シンガポール首相府が4月5日に発表した。

同氏はこの中で、サイバー犯罪による被害額が世界的に莫大な額となっていること、シンガポールでの犯罪の主流がサイバー犯罪になっていることを指摘し、一層の対策強化のため技術だけでなく、新たなアプローチが必要であることを示唆した。

シンガポールでは昨年、窃盗と住居侵入関連の犯罪が8%、24%とそれぞれ減少し、37年ぶりの低水準となった。一方、オンライン詐欺は52.9%増加し、全犯罪の51.8%を占め、過去最高となった。 世界的には2021年のサイバー犯罪による世界的な被害額は6兆米ドル(約760兆円)と推定されている。この額はアマゾンの収益の12倍以上、アップルの16倍以上(いずれも2021年)に相当する。サイバー犯罪のコストは今後も増加し、2025年には10.5兆米ドル(約1,300兆円)にまでさらに拡大すると推定されている。

こうした状況に対処する新たなアプローチの一つとして、テオ・チーヒエン氏は概念、教義、法律の変化を挙げた。状況の変化に応じて法的なツールを活用することの重要性を訴えた。

また、安全保障に関する政策を実行するため、能力開発に投資する必要があると述べた。そのためには政府だけで政策を進めるのではなく、産業界や外部パートナーと技術や技術活用のノウハウを共有する必要があるという。

さらに、同氏は国際協力を強化することの重要性を指摘した。国同士で法体系が異なることが犯罪に利用される恐れがあると指摘し、TechXサミットでサーバー犯罪対処への課題やベストプラクティスを共有することも国際協力の一つであるとした。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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