フィリピン科学技術省(DOST)の関係者へのインタビューから、フィリピンがイランと、科学技術・イノベーション(STI)分野で、特に健康・医療機器やナノテクノロジーに関して協力関係を結ぶ方針であることが分かった。国営フィリピン通信社(PNA)が5月23日に伝えた。
(提供:DOST)
DOST代表団は2019年、科学分野でイランを訪問したが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が大流行した以降は、この協力関係の構築は延期となっていた。
「このイラン訪問では、イラン製の高度な前臨床装置を視察しました。磁気共鳴画像装置(MRI)、CTスキャン、マウス用に特別設計されたその他の機器も含まれ、研究と臨床試験のプロセスに大いに役立つものでした」とDOSTのリア・ブエンディア(Leah Buendia)氏は訪問を振り返る。
代表団は視察を通して、イランのシステムや成功事例を学び、フィリピンの産業技術開発研究所(ITDI)の実験動物施設、DOSTのTuklas Lunasプログラム、フィリピンウイルス科学技術研究所(VIP)の設立を進めるために、研究協力体制のあり方を検討した。
ブエンディア氏によると、2022年5月23日から30日まで、フィリピン大学(UP)ロスバニョス校、同マニラ校、セント・ルークス病院、ITDIから4名の専門家がイランを訪問し、テヘラン医科大学前臨床コア施設と国立脳マッピング研究所による前臨床イメージング技術の応用と脳マッピングに関するワークショップに参加する予定。さらに、両国間でナノテクノロジーに関する科学修士課程を創設することが検討されており、同コースは設置されればフィリピンで初めてとなる。
2021年11月に開催された「農業ナノテクノロジーに関するフィリピン・イラン国際仮想シンポジウム」のフォローアップとして、ナノ生物農薬、農業汚染物質や廃水のナノレメディエーション技術の分野での共同研究開発(R&D)と科学者交流も進められる予定だ。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部