シンガポールの南洋理工大学(NTU)は6月14日、同大学発のスピンオフ企業であるレッドドット・アナリティクス(Red Dot Analytics:RDA)社と協力し、データセンターにおけるエネルギー効率の改善と炭素排出量の削減を図る、新しい技術を開発したと発表した。
昨今のデジタル経済はデータセンターをベースとしており、エネルギーコストの上昇や炭素排出量の規制強化、クラウドコンピューティングの急速な発展など複数の課題に直面している。
(提供:NTU)
レッドドット・アナリティクス社は、NTUの開発した人工知能(AI)を搭載した技術を用いて、データセンターの運用を最適化し、エネルギー使用量を最大30%削減させ、コストと炭素排出量の削減に成功した。
今回開発された技術とサービスは、中国アリババグループやシンガポール国立スーパーコンピューティングセンター(NSCC)などの協力を得て、実証実験を終えている。レッドドット・アナリティクス社は現在、アジア全域をカバーするデータセンタークラスターBig Data Exchange(BDx)など、世界的なデータセンターオペレーターと事業を進めている。
シンガポールは、アジアの近隣地域の主たるデータセンターハブとして、約60のデータセンターを有し、サーバーラックの占有面積は約600万平方フィート(約55万7000平方メートル)に及ぶ。これらのデータセンターを維持する電力消費量は、2020年のシンガポールの総電力消費量の7%を占める。
データセンターによる電気使用量の削減は、今世紀半ばまでに炭素排出量の正味ゼロを目指す、2022年3月に発表されたシンガポールの取り組みに貢献する。データセンターをシンガポールに設置したいと考える企業にとって、今回開発された技術は、シンガポールにおけるデータセンターの厳しい設置基準も満たしている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部