2022年07月
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AIで最適化、データセンターのエネルギー使用量を3割削減―シンガポール南洋理工大とスピンオフ企業

シンガポールの南洋理工大学(NTU)は6月14日、同大学発のスピンオフ企業であるレッドドット・アナリティクス(Red Dot Analytics:RDA)社と協力し、データセンターにおけるエネルギー効率の改善と炭素排出量の削減を図る、新しい技術を開発したと発表した。

昨今のデジタル経済はデータセンターをベースとしており、エネルギーコストの上昇や炭素排出量の規制強化、クラウドコンピューティングの急速な発展など複数の課題に直面している。

(提供:NTU)

レッドドット・アナリティクス社は、NTUの開発した人工知能(AI)を搭載した技術を用いて、データセンターの運用を最適化し、エネルギー使用量を最大30%削減させ、コストと炭素排出量の削減に成功した。

今回開発された技術とサービスは、中国アリババグループやシンガポール国立スーパーコンピューティングセンター(NSCC)などの協力を得て、実証実験を終えている。レッドドット・アナリティクス社は現在、アジア全域をカバーするデータセンタークラスターBig Data Exchange(BDx)など、世界的なデータセンターオペレーターと事業を進めている。

シンガポールは、アジアの近隣地域の主たるデータセンターハブとして、約60のデータセンターを有し、サーバーラックの占有面積は約600万平方フィート(約55万7000平方メートル)に及ぶ。これらのデータセンターを維持する電力消費量は、2020年のシンガポールの総電力消費量の7%を占める。

データセンターによる電気使用量の削減は、今世紀半ばまでに炭素排出量の正味ゼロを目指す、2022年3月に発表されたシンガポールの取り組みに貢献する。データセンターをシンガポールに設置したいと考える企業にとって、今回開発された技術は、シンガポールにおけるデータセンターの厳しい設置基準も満たしている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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