2022年07月
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2種の新種のハチを発見...フーチョンナヨイ国立公園の健全な生態系を証明 タイ

タイ国立科学技術開発庁(NSTDA)は6月20日、同国のウボンラチャタニ・ラジャパット大学 の研究者が、フーチョンナヨイ国立公園 における生物多様性の調査中に、2種の新種のハチを発見したことを発表した。研究成果は学術誌 ZooKeys に掲載された。

今回発見された2種は、Phujong resin beeとTopaz cuckoo beeだ。NSTDAが後援するプロジェクトの下、同国のチュラロンコン大学とフーチョンナヨイ国立公園との共同調査で発見された。

このうち、Phujong resin bee(学名:Anthidiellum<Ranthidiellum> phuchongensis sp.nov.) は、東南アジアの固有種で、これまでに4種のみが報告されている珍しいハチである。これらのハチは、巣に樹脂製の入り口を作ることが知られている。

もう1種のTopaz cuckoo bee(学名:Stelis<Malanthidium> flavofuscinular sp. nov.)は、Phujong resin beeの巣で発見され、裂開性寄生ハチである。腹部には黄色と黒の特徴的な縞模様がある。

ハチは生態系に不可欠な存在であり、受粉媒介者として木や花などの植物の成長を支え、人間や動物の食料を生産し、住処を作り出す。希少なハチの発見は、フーチョンナヨイ国立公園の健全な生態系の証といえる。研究チームは国立公園と協力して、巣が発見された小川周辺の垂直な土手の面積を維持・拡大し、ハチの生息地を保全するよう取り組んでいる。この発見は、地元住民の保護に対する意識を高めるとともに、ハチをモチーフにした布や籠など工芸品を作るきっかけとなっている。

ハチをモチーフにした工芸品などを制作する女性 (提供:すべてNSTDA)

ウボンラチャタニ・ラジャパット大学は、NSTDAが資金援助をする7大学の一つで、地域経済と観光を支援するための生物学的・文化的多様性の研究を行っている。この研究プログラムは、タイが推進するBCGエコノミー(バイオ・循環型・グリーンを重視する新経済モデル) の一環である。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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