フィリピン科学技術省(DOST)は6月27日、同省が研究開発(R&D)プログラムとして推し進めるサイエンス・フォー・チェンジ・プログラム(S4CP)の予算について、地方への割り当てを66%に引き上げたと発表した。
フィリピン国内の多くの地域はこれまで、さまざまな課題や制限により社会的発展が妨げられ、地域社会における仕事や生計の機会に恵まれなかった。既存の社会経済的問題に対する長期的な解決策として、とくに農村部におけるさまざまなR&Dプログラムに投資することは有効と考えられる。
DOSTがS4CPをスタートする前の2016年は、政府のR&D予算の80%がマニラ首都圏とその周辺地域へ割り当てられ、残りの20%が他の14地域に割り当てられていた。今回は地方へのR&D予算の割り当てを増加した。
フォルチュナト・デラペニャ(Fortunato T. de la Peña)科学技術相は、「フィリピンには、国の至る所に才能と知識を備えた科学者やエンジニア、研究者がたくさんいる。地域の発展に必要なのは、人々の利益のために、知識や経験を最大限引き出すことができる持続可能なプログラムを提供することだ」と強調した。
また、DOSTの研究開発担当次官であるロウェナ・クリスティーナ・L・ゲバラ(Rowena Cristina L. Guevara)博士も「S4CPは、コミュニティーの変革や社会経済的発展につながる社会問題に取り組む利害関係者にR&Dの機会を提供することによって、イノベーションの持続的な創出を可能にする」と力説した。
農村部で大きな問題となっているバナナ病。この病気をコントロールする監視システムが研究者によって開発された
一方、国連が主催するオンラインイベントが6月22日に行われた。フィリピンのS4CPは2022年国連公共サービス賞を受賞すると同時に、持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた公的機関の実効性向上の取り組み部門でも受賞した。
フィリピンのS4CPが国連公共サービス賞を受賞しことなどを示すオンライン画面
(提供:いずれもDOST)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部