フィリピン技術教育・技能教育庁(TESDA)が、他国と協力してサイバーセキュリティ分野における人材養成のためのプログラムを開発する検討を始めた。国営フィリピン通信社(PNA)が7月8日に伝えた。
フィリピン技術教育・技能教育庁(TESDA)の建物
(PNA file photo by Cristina Arayata)
従来の情報コミュニケーション技術コースと違い、サイバーセキュリティ分野は多分野にまたがり、学生がコンピューターのシステムを理解しているだけでは不十分である。またサイバーセキュリティを学ぶ学生は、ハッカーがユーザーを偽サイトへ誘導するフィッシング攻撃などについても学ぶ必要がある。TESDAは現在、サイバーセキュリティコースにおける資格基準の設置について、関連する当局とともに審議を進めている。この資格基準がTESDAの理事会で承認された後、新設されるコースの審査員とトレーナーを、3~6カ月の時間をかけて養成することになる。
TESDAは、現在進めているプログラムの開発で、イスラエルと協力することも考えている。イスラエルにはサイバーセキュリティ専門家の世界最大のネットワークがあり、国民に参加義務がある軍事訓練でも高度なサイバーセキュリティ訓練が提供されている。このため、イスラエルとのパートナーシップはフィリピンにとって非常に有益だと考えられる。
TESDAの役員を務めるロザンナ・ウルダネータ(Rosanna Urdaneta)氏は、「私たちは現在、インターネットとコンピューターソフトウェアが関わる第5次産業革命に向かっています。こうした社会情勢のなか、サイバーセキュリティの人材を養成することは、サイバー攻撃を防ぐだけでなく、ビジネスを進める上で国や企業にとって有益です」と展望を話す。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部