フィリピン科学技術省(DOST)は7月14日、同省の森林産品研究所(DOST-FPRDI)の研究者らが、複合断熱ボード(thermal insulation boards)の材料として、廃棄物となるバナナの茎が最適であることを発見したと発表した。
フィリピンでは世界有数のバナナ生産国であることから廃棄物量も多く、ミンダナオ島だけでも、毎年約13億5000万kgのバナナの茎が畑に放置され腐敗している。
天然繊維の複合材料は現在、壁、天井、床、キャビネット、木箱、自動車部品などとして、世界中で一般的に使用されている。この複合材料に目をつけた同研究所の技術者であるジルベルト・N・サピン(Gilberto N. Sapin)氏は、研究から、プランテンバナナ( Musa paradisiaca )の茎の繊維が、複合断熱ボードの有望な材料となることを突き止めた。
同氏は「気候変動で気温が上昇するフィリピンのような熱帯の国々では、家や建物外からの熱を断熱するパネルが今後必要となるでしょう。現段階の試作サンプルはまだ完璧ではなく、調整の必要がありますが、最初の発見としては非常に心強いものです」と語った。
複合断熱ボードに変わるバナナの茎 (提供:DOST)
サピン氏はこのほか、マレーヤマバショウ( Musa acuminata )の繊維も複合ボードの有望な材料であることを発見した。上記の研究結果は、フィリピン大学ディリマン校のレスリー・ジョイ・L・ディアス(Leslie Joy L. Diaz)博士の指導の下、サピン氏が執筆した材料科学修士論文の一部である。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部