タイ国立科学技術開発庁(NSTDA)は7月22日、同国のシンプリー・デコール(Simply Décor)社とチェンマイ大学の研究者の連携支援により、簡単な方法で環境に優しい防水桑紙を製造する方法が開発されたことを発表した。
この連携は、タイ政府が推進するBCGエノコミー(バイオ・循環型・グリーンを重視する新経済モデル)の一環で実現した。この取り組みでは同国の中小企業のイノベーション能力を高め、競争力を強化することを目的とし、NSTDAから専門家の派遣と資金提供が行われる。シンプリー・デコール社はパパペーパークラフトというブランド名で桑紙を製造しており、チェンマイのバーントンパオ村に伝わる伝統的な製造方法を元に桑紙を作っている。環境意識の高まりから、プラスチックから紙などの生分解性素材へと市場が移行しつつある中で、同社のCEOであるタナコン・スパサ(Thanakorn Supasa)氏は、防水桑紙の市場機会を狙っていた。
(提供:いずれもNSTDA)
チェンマイ大学のマノック・ナクサタ(Manoch Naksata)博士は、NSTDAの資金提供を受けて、パルプ混合物に疎水剤を加えるという簡単な方法で防水桑紙を製造する方法を開発した。この工程で使用される疎水剤は自然由来の物質であるため、防水桑紙は生分解性であり、環境にも優しいものとなっている。現在、この防水桑紙は、紙皿、ギフトボックス、ギフトバッグなどの製品に加工され、タイ国内および海外の顧客に供給されている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部