シンガポールの南洋理工大学(NTU)は、糖尿病患者などが苦しむ慢性創傷を専門とする医療技術企業であるクプリナ創傷ケアソリューションズ(Cuprina Wound Care Solutions)社と共同で、廃棄されたウシガエルの皮膚(bullfrog skin)から臨床グレードの新しいコラーゲンを開発した。NTUが7月27日に発表した。
特許を取得したこの技術は現在、規模拡大と実用化に向けてクプリナ創傷ケアソリューションズ社に独占的に使用許可された。
ウシガエルの皮膚から開発された臨床グレードの新しいコラーゲン
(提供:NTU)
シンガポールでは20人に1人が慢性創傷を患っている。患者の10人に1人が患う糖尿病と急速に進む高齢化のため、慢性創傷治療への需要は増加するとみられている。
廃棄物ゼロへのマスタープランと循環型バイオエコノミーを推進するシンガポールにとって、廃棄物を使用して有益なコラーゲンを生み出すことは、アップサイクルのための持続可能な手段となり、廃棄物を削減することにもなる。
開発されたコラーゲンはコラーゲンパッチとして使われ、クプリナ創傷ケアソリューションズ社の主力商品であるメディフライ(MEDIFLY)を補完する。メディフライは、慢性創傷、特に糖尿病性足部潰瘍に伴う感染を抑制し、切断手術率を減らすことが臨床的に証明されている。
クプリナ創傷ケアソリューションズ社とNTUによるこの斬新なコラーゲン製品の開発と迅速な実用化は、今年はじめシンガポール企業庁(Enterprise Singapore)によるサステナビリティオープンイノベーションチャレンジ受賞作品の1つとして発表された。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部