シンガポールの南洋理工大学 (NTU) の科学者らは、バクテリアを使用して化学物質を吸収することにより、既存の技術が可能な温度よりも高い温度で廃水からリンを除去する技術を開発した。7月13日付け発表。
廃水からリンを除去する技術を開発したNTU の科学者ら
(提供:NTU)
リンを除去する現在の技術は、25°Cを超えるとうまく働かない。25°Cは現在の熱帯諸国の気温だが、地球温暖化の発生と共に、該当する国は拡大すると予想されている。
今回のイノベーションは、バクテリアを利用する。30°Cと35°Cの廃水から効果的にリンが除去されたことを科学者が実証したため、「未来を見据えた」化学物質の除去に役立つ。
現在採用されている方法とは異なり、廃水からリンを除去する新しい方法には、鉄やアルミニウム入り凝集剤などといった化学物質は含まれていない。既存の方法では、大量の不活性スラッジが生成され、後で処理して処分する必要がある。
科学者らは今後、この方法の有効性をさらに高めるための研究を進めるつもりである。また、このバクテリアを使って、50年から100年の間に地球規模で枯渇すると言われているリンを捕獲し、貯蔵することも考えている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部