2022年09月
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ナノエマルジョン技術でシソ種子油有効成分の生物学的利用能を向上 タイ

タイ国立科学技術開発庁(NSTDA)は、タイ国立ナノテクノロジー研究センター(NANOTEC)の研究者らがナノエマルジョン技術によりシソ種子油有効成分の生物学的利用能を向上させた製品を開発したことを発表した。8月4日付。2023年に100万個の販売を見込んでいる。

(提供:NSTDA)

シソは、シソ科シソ属の植物で、タイ北部のチェンマイやチェンライ、メーホンソン、プレー、ナンで作物として栽培されている。シソ種子油には、リノレン酸、リノール酸、オレイン酸といった不飽和脂肪酸が豊富に含まれ、脳機能の向上や神経系の強化、コレステロールの低下が期待されている。さらに抗酸化作用や抗がん作用を持つロスマリン酸やルテオリンも含まれていることが知られている。

ナノ農芸化学・加工研究チームのリーダーであるキティウット・カセムウォン(Kittiwut Kasemwong)博士は、タイ農学研究機構(ARDA)の研究費を得て、以前開発していたツバキ種子油のナノエマルジョン化の知識を応用することで、シソ種子油のナノエマルジョン化に成功した。キティウット博士は「ナノエマルジョンとはナノサイズの乳化剤で、生理活性化合物の溶解性と吸収性を高めることで生物学的利用能を向上させることができます」と説明する。

今回開発されたシソ種子油のナノエマルジョン化技術は健康・機能性食品メーカーであるJR研究所(JR Laboratory Company Limited)社にライセンス供与され、カプセルに封入し製品化されたものが2021年末にタイで「PEREAL」ブランドとして発売されている。さらに2022年末にはラオスをはじめとした近隣市場にも導入される予定。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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