シンガポールの南洋理工大学(NTU)は、同大学の機械・航空宇宙工学部に所属するリュウ・シュクイ(Liu Shukui)博士と、アテネ工科大学(NTUA)のアポストロス・パパニコラウ(Apostolos Papanikolaou)教授が、海運会社のコスト削減や環境改善にもつながる新たな方法を開発した。8月2日付け発表。
(提供:NTU)
既存のソフトウェアツールは、船体の設計に基づいて波浪による抵抗力を計算するのに対し、今回開発された新しい方法では、船の長さや幅、積載状況など8つのパラメータを使って計算する。これにより、船体設計に関する詳細な情報がない場合でも、船体抵抗の推定が可能になる。
今回発表した方法を用いることで、洋上の船舶は、波浪の影響をより正確かつ容易に推定できるようになり、航路の燃料消費量や温室効果ガス排出量、航海時間をより正確に見積もることができ、各航路を最大限に活用することができるようになる。これにより、船舶の燃料消費量と温室効果ガスの排出量はそれぞれ5~10%削減できると期待される。
開発された方法は、SHPERA-NTUA-NTU-MARIC(SNNM)法と呼ばれ、国際海事機関(IMO)が発行する推進力を評価するためのガイドラインに記されている。海事業界は、国際標準化機構(ISO)が定める規格(ISO15016)の更新を図るため、開発された方法を使用するよう努めている。この規格の次回改定は、2023年に完了することになっている。
SNNM法は、中国海洋設計研究院(MARIC)の支援の下、IMOのオブザーバー組織でもある国際試験水槽会議(ITTC)において検証され、その利用が推奨されている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部