タイ国立科学技術開発庁(NSTDA)所管の国立ナノテクノロジーセンター(NANOTEC)が、化粧品用途を目的とした霊芝(れいし=マンネンタケの別名)抽出物の皮膚浸透技術を開発した。9月7日付け発表。この技術は、発売が予定されている美容液に採用される。
NANOTECとタイのファーム・キッド・ディー・カンパニー(Farm Kid Dee company Limited)社は2017年、タイ研究基金の支援を受け、化粧品用途の霊芝エキスの抽出と皮膚浸透に関する共同プロジェクトを立ち上げた。研究チームは、霊芝抽出物のニオソーム送達システムの開発に成功し、開発したニオソームをREISHOSOMEとして商標登録した。
REISHOSOMEの粒子径は144.6~308.3nm(ナノメートル)、霊芝抽出物の捕捉効率は96.67%を有する。REISHOSOMEは、良好な安定性と分散性を示し、ヒト線維芽細胞への毒性や皮膚刺激も認められなかった。この技術を用いて製品化された美容液はREISHURALと命名され、シワ防止、美白、保湿に効果が期待されている。
REISHURALは、NANOTECの工場で製造され、ファーム・キッド・ディー・カンパニー社が販売する。REISHURALはタイ食品医薬品局に登録されており、最初の3年間で3000万バーツ(約1億1600万円)の販売を見込む。
(提供:いずれもNSTDA)
NANOTEC事務局長のワニー・チンシリクン(Wannee Chinsirikul)博士は、NANOTECの主な使命は、ナノテクノロジーの研究開発の卓越性を追求し、研究成果を活用してバイオ・サーキュラー・グリーン(BCG)経済を主導する政府の方針に沿って社会経済的な影響を与えることであると説明する。同博士は、「豊かな生物資源を持つタイの強みを生かして研究開発に取り組んだ結果、活況を呈する美容業界で新しい製品を生み出すことができました」と述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部