シンガポール国立大学(NUS)は、同大学法学部のテクノロジー・ロボット工学・人工知能(AI)・法律のためのセンター(TRAIL)が、メタバースにおけるデータ・情報・知的財産の保護に関する会議を主催したと発表した。9月20日付け。
パネルディスカッションの様子
(提供:NUS)
「メタバースを理解する:法律・政策・実践」と題された会議は、多くの個人情報が複数の技術を通してこの新しい仮想空間に集中する中で、メタバース空間におけるプライバシーに関する問題についての既存の法律および政策の関連性と適用に焦点を当てた議論が展開された。
TRAILの共同ディレクターのデビッド・タン(David Tan)教授は、「ゲーム・ショッピング・NFTや暗号通貨のような資産の購入・仮想空間やメタバースにおけるバーチャルペルソナの創造などで、仮想空間におけるインタラクションはますます人気を得ています。そのためデータや情報が物理的インタラクションから集められ、仮想空間に安全に統合する方法の議論は火急の課題です」と語った。
Meta社と大手法律事務所ラジャ・アンド・タン(Rajah & Tan)が支援するこの会議は、メタバースに関する法的および政策的問題の全領域にまたがる意識を高め、議論を推進するための、TRAILとNUS法学部の取り組みの1つである。
会議ではMeta XR プログラムとリサーチファンドから資金提供された研究プロジェクトのための提案も募集が開始され、プライバシーとデータの使用を管理するための政策と枠組みを形成する道を開くと期待されている。2021年、TRAILはMeta社から資金援助を受け、シンガポールにおけるプライバシーとデータ使用に関する研究を行う最初の研究機関の1つとなった。
Meta社の東南アジア公共政策ディレクターであるラヒマー・アブドゥラヒム(Rahimah Abdulrahim)氏は、「メタバースを構築するためには、Meta社だけでなく、産業界一丸となって取り組む必要があります。ほかの企業・クリエーター・開発者・政治家との連携は、将来の課題を乗り越えるために重要であり、経済的機会・プライバシー・安全・公平性・包摂性などの価値観を指針として取り組んでいきます」とし、「責任を持ってメタバースの構築を行うことが重要です。そのため、私たちはと学術コミュニティと緊密に連携し、Meta XR プログラムとリサーチファンドを通して研究を支援します」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部