2022年10月
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重症ぜんそく患者のデータを登録するレジストリ設立―アジア人と非アジア人のデータ比較 シンガポール

シンガポールの南洋理工大学(NTU)は、同大学リーコンチアン医科大学 (LKCMedicine) が、重症ぜんそくレジストリ(SSAR)を設立したと発表した。9月16日付け。チャンギ総合大学(SGH)、シンガポール総合病院(SGH)、タントクセン病院(TTSH)と提携する。SSARは同国で初となる重度のぜんそく患者を登録する大規模なレジストリ(データベースの1つ)として、国際重症ぜんそくレジストリ(ISAR)にも参加する。

SSARは、LKCMedicineが主導する、呼吸器疾患対策学術推進会議 (TARIPH)が管理する。シンガポールの重症ぜんそくによる負担を理解し、臨床と知識のギャップに取り組み、合併症を減らし、治療とアウトカムを改善することを目的としている。収集された実臨床のエビデンスは、政策の意思決定とガイドラインの運用に役立つことが期待される。

SSARはこれまで重症ぜんそく患者139人のデータを収集し、年末までに200人のデータ登録を目指す。集められた匿名データには、人口統計・病歴・悪化歴・治療計画・肺活量テスト結果・全血球数などのバイオマーカーが含まれる。

SSARを活用することで、アジア人患者と非アジア人患者のデータを比較することが可能になる。TARIPHの共同議長でLKCMedicineのサンジェイ・H・チョティアモール(Sanjay H. Chotirmall)助教授は、「さまざまな肺疾患から、アジア人患者と非アジア人患者との間で治療に対する反応や肺疾患の動向が異なるという新たな証拠が出てきています」と語る。

シンガポールにおける重症ぜんそく患者の経口コルチコステロイドの高使用の問題にも貢献が期待される。経口コルチコステロイドは急性ぜんそく再発などに使用されている。しかし長期的および頻繁な使用は、糖尿病などの副作用のほか、心臓発作などのリスクを増加させる。収集したデータから、大量使用が患者にどうのように影響しているかを理解し、ステロイドの負担を最小限に抑え、合併症を特定することを目指す。

SSARは、26カ国の研究者によるグローバルパートナーシップであるISARの一部となる。各国のレジストリは、地理的に異なる集団で重症ぜんそくの影響がどのように異なるかを理解するためにデータを共有している。

ぜんそくの重症患者(右)と話すSSARのスタッフ

SSARにかかわるメンバーら
(提供:いずれもNTU)

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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