シンガポール国立大学(NUS)理学部の気候変動対策センター(CNCS)は、STエンジニアリング・ジオインサイツ(ST Engineering Geo-Insights)社と共同で、世界中の自然ベースのカーボンクレジットプロジェクトに関する予想・開発・管理を支援するインタラクティブなマッピングソフトを開発した。9月26日付け発表。
NUSのコー・リアン・ピン(Koh Lian Pin)教授(右)
(提供:NUS)
カーボン・プロスペクティング・ダッシュボードと名付けられたこのオープンアクセスプラットフォームは、9月22日、世界経済フォーラムのチャンピオンズ・フォー・ネイチャーのイベントで発表された。このプラットフォームは、政策立案者や投資家が、良質なカーボンクレジットの供給源となりうる自然ベースのプロジェクトを特定することを可能にすることで、熱帯林やマングローブなどの炭素を多く含む自然生態系の保全を支援するものである。
ユーザーはプロジェクトの期間・費用・カーボン価格など事前に定義した前提条件に基づいて、カーボンクレジットの推定収益と投資収益率を計算することができる。また食の安全・清潔な水供給の確保・生物多様性地域の保護といったその他の有益な効果を定量化することも可能になる。そのような情報は、カーボンクレジットの価格の透明性を高め、高品質なカーボンオフセットの探索にも役立つ。
現在、良質な自然由来のカーボンクレジットの需要は、供給を上回っている。今回開発されたプラットフォームは、気候、生物多様性、最大の利益をもたらす最も有望な炭素プロジェクトサイトを特定することで、複雑で費用のかかる炭素資源の探索プロセスを短縮することを支援する。政府・企業・市民社会が自然と一緒になって、気候変動と生物多様性の損失という二重の世界危機に取り組むことを支援する。
「このメイド・イン・シンガポールのプラットフォームは、自然を基盤とした気候変動対策にとって、世界的に画期的なものになる可能性があります。有望なプロジェクトの費用と利益に関する信頼できるデータにタイムリーにアクセスできないことが、多くの自然ベースのカーボンプロジェクトの大きな妨げとなっています。このプラットフォームにより、政策立案者や投資家は必要な情報をすぐに手に入れることができます」と、NUS・CNCSディレクターのコー・リアン・ピン(Koh Lian Pin)教授は語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部