2022年11月
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老化・がんの発症につながるテロメアの分子構造を解明 シンガポール

シンガポールの南洋理工大学(NTU)は、老化とがんの発症などにおいて重要な役割をするテロメアと呼ばれる染色体の重要な部分の分子構造を、同大学の科学者らが解明したと発表した。9月29日付け。研究成果は、学術誌 Nature に掲載された。

(提供:NTU)

研究チームは、テロメアの構成部分が、バネのように柱状に積み重なっていることを発見した。またテロメアのこの形状によってDNAの一部が露出し保護されないままとなり、それまで考えられていた以上に損傷を受けやすくなっていることも突き止めた。研究者らは、この遺伝子研究の進展について、人間の老化とがんの発症がなぜ起こるのかを説明することに役立つであろうと語った。

テロメアは、染色体を構成するDNA分子の末端にある保護キャップである。靴ひもの先端に付いているプラスチックのように、テロメアは染色体を覆い、染色体同士がくっつくことや、擦り減ることがないように保護している。これまで、テロメアは化学的に不安定な上に複雑な繰り返し構造を持つことから、研究室内で十分な量を複製し、電子顕微鏡で観察することは難しかった。

研究チームは既存のDNA複製プロセスを応用し、テロメア内では、密集したDNA鎖が密に詰まったヌクレオソームが、ヒストンと呼ばれる染色体タンパク質の周りに柱状に積み重なっていることを確認した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部