シンガポール国立大学(NUS)は、同大学サイエンス学部とシンガポール土地管理庁 (SLA)が、シンガポールにおける炭素推定研究のために地理空間データと技術を活用するための協力に関する了解覚書(MoU)に調印したと発表した。10月6日付け。
このMoUのもとで、SLAは、NUS理学部傘下の自然を活用した気候課題解決のためのセンター(CNCS)が行う炭素推定研究を、空中レーザースキャナーと画像などの技術を用いて取得した地理空間データにより支援していく。この新たなパートナーシップにより、シンガポールの自然保護区と生態系の炭素推定において、生産性とコスト効率を高める方法を見出すことができると期待される。
今回の炭素推定研究は、原生林や二次林・マングローブ・公園・庭園を含むシンガポールの森林と生態系に貯えられた炭素量を推定することを目的とする。現在、炭素推定研究は、データを収集するために手間のかかるフィールドワークが必要である。また高解像度ではない画質の衛星画像に大きく依存するため、研究結果の精度に影響を与える可能性がある。このパートナーシップを通じてSLAは、空中レーザースキャナーから集めた地理空間データおよび高解像度空中画像をNUS CNCSと共有する。調査結果は、シンガポールの生態系全般にわたる保護および回復活動の計画と実施を促進する。
SLA最高責任者コリン・ロウ(Colin Low)氏は、「SLAとNUSは、気候変動問題に取り組むソリューションの一部であるというビジョンを共有しています。シンガポールの持続可能な開発を支援するために、お互いの専門性を活用すべく、これまでも協力してきました」とし、「地理空間データと技術を利用することで、環境変化に対して深い洞察を得ることができると期待されます。このコラボレーションは生きた研究所として、シンガポールグリーンプランのもとで、アジアの炭素取引の中心となるというビジョンを体現したものです」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部