2022年11月
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【AsianScientist】妊娠中の適度な運動、胎児に有益な理由解明-胎盤DNAメチル化が関連

シンガポールの研究者らは、妊娠前と妊娠中の適度な運動は、DNAメチル化を通じて健康な胎児の発育を促進することを発見した。

複数の研究から、栄養と適度な運動は妊娠中の母親に有益であるだけでなく、胎児の成長と子供の健康にもつながることが証明されている。しかし、なぜ運動が胎児によいのか、その根本的な仕組みは不明であった。シンガポール国立大学(NUS)の研究者チームは最近の研究で、その仕組みを解明しようとした。

チームは、レクリエーション時の身体活動(妊娠前と妊娠中)と胎盤 DNA メチル化との間に関連性があることを発見した。DNA メチル化は、胎盤における遺伝子発現と細胞機能を調節するプロセスであり、胎児と母体の健康に関連するプロセスの研究において重要なものである。

この研究は、妊娠前と妊娠中における母親の身体活動がヒトの胎盤DNAメチル化に与える影響を調べた最初のものであり、調査結果は American Journal of Clinical Nutrition 誌に発表された。

チームは、健康でリスクが低く、さまざまな社会的背景やライフスタイル・パターンを持つ人々を対象に、どの程度の身体活動を行っているのか意識調査を行った。チームは、妊娠前と妊娠中のレクリエーション的な身体活動が、遺伝子発現の調節に関与する胎盤DNAメチル化領域の部位と有意に関連していることを特定した。これは、妊娠前と妊娠中の母親の身体活動は、初期胎児の心臓、免疫系、神経系の発達に影響を与える可能性があることを示唆する。

現在、運動が妊娠に与える影響について、誤った考えがいくつか存在する。その中には、運動は過熱と脱水を引き起こすため、胎児の成長に危険を及ぼす可能性があるという説もある。

この研究は、妊娠中の運動の利点に光を当てることを目的としている。このため、「女性、子供、さらには家族全体の健康と幸福を促進するライフスタイル介入戦略を定めることができます」と、NUSヨンローリン医学部(Yong Loo Lin School of Medicine)産婦人科のジャン・クイリン (Zhang Cuilin) 教授は話している。

(2022年11月07日公開)