シンガポールの南洋理工大学(NTU)は、同大学土木環境工学部副部長で教授のヤン・ヤオウェン(Yang Yaowen)氏率いる研究者らが、微風のような穏やかな風によるエネルギーを利用し、電気として蓄えることができる低コストの装置を開発したと発表した。10月6日付け。
(提供:NTU)
この装置は風速2メートル毎秒の風を受けると、3ボルトの電圧を生み出し最大290マイクロワットの電力を発電する。これは、市販のセンサー機器に電力を供給し、そのデータを携帯電話やコンピューターに送信するのには十分な電力である。ウインドハーベスターと呼ばれるこの装置は軽量で耐久性のあり、使用されていない電気をバッテリー用に変換し、風のないときに電力を装置に供給するために蓄えることができる。
科学者らはこの発明について、発光ダイオードライトと構造状態のモニタリングセンサーに電力を供給するバッテリーに置き換わる可能性があるという。これらのセンサーは橋や超高層ビルのような都市構造物で使用され、構造上の健全性をモニターし、技術者に不安定性や物理的損傷といった問題を警告するために使用されている。
この装置はわずか15センチ×20センチと小さく、建築物の側面に簡単に設置可能で、雷雨を除いては平均風速2.5メール毎秒未満の、シンガポール郊外のような都市環境に最適である。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部