2022年11月
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噛むことでスマホを操作できるマウスガードを発明 - 手先の不自由な人等に朗報 シンガポール

シンガポール国立大学(NUS)は、噛(か)む力を利用してコンピューターやスマートフォン、車椅子などの電子機器を高精度で操作できる画期的なマウスガードを開発したことを発表した。10月11日付け。本成果は科学誌 Nature Electronics に掲載された。

リュウ・シャオガン(Liu Xiaogang)教授(中央)ら研究チーム

近年、手先の不自由な人や視覚障害のある人が電子機器を操作するのをサポートするさまざまな支援技術が開発されている。音声認識、アイトラッキング、ブレイン・コンピューター・インターフェースなどの技術が知られているが、これらには環境干渉、制御精度、コスト、メンテナンスなどの面で限界があった。

今回、NUS理学部化学科のリュウ・シャオガン(Liu Xiaogang)教授が率いる研究チームは、中国の清華大学の共同研究者とともに世界初となる噛むことで制御できる光電子システムを発明した。このシステムでは、噛み方パターンを検出する圧力センサーを組み込んだスマートマウスガードを使用する。センサー部分には圧力に反応して異なる色で発光する蛍光体を含む接触パッドが使われており、噛むことで生じる発光を測定することで電子機器の操作・制御に利用する。重さは約7gで、既存のサポート技術と比較しても、簡易なトレーニングで使用が可能となる。

噛むことで操作できる光電子システム

リュウ教授はこのシステムについて、「複雑な噛み方パターンを98%の精度でデータ入力に変換することができます。この新しいセンサーは小型の力センサー、フレキシブル電子機器、人工皮膚、歯科診断などの多機能機械検知アプリケーションに応用できます」と説明している。スマートマウスガードは現在、1枚あたり100シンガポールドル(約1万円)だが、大量生産によるコストの大幅削減も期待されている。

軽量で手軽に操作可能なマウスガード
(提供:NUS)

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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