2022年11月
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フィリピンの立方体衛星MAYA-3とMAYA-4のミッションを振り返る

フィリピンの立方体衛星 (CubeSats)であるMaya-3とMaya-4は、軌道投入からほぼ10カ月後、それぞれ8月4日22時1分、8月8日16時9分(フィリピン標準時)に地球大気圏に再突入し、ミッションを成功させた。その過程を写真とともに振り返る。

Maya-3とMaya-4は、STAMINA4Spaceプログラムの大学間連携による宇宙科学技術普及プロジェクト(STeP-UP) の科学者たちによって設計・開発され、地元の大学で開発された。

STAMINA4Spaceプログラムのプログラムリーダーであるマリコル・ソリアーノ(Maricor Soriano)博士はこう話す。

「Maya-3とMaya-4は、地域の宇宙産業の発展において極めて重要な役割を果たしました。これらのCubeSatsは実験・教育用プラットフォームであり、すべての低軌道衛星はいずれ地球に落下しますが、より重要なのは、このプロジェクトがもたらした永続的な無形資産、すなわち知識、技術、パートナーシップ、そして私たちにはそれができるという自信です」

Maya-3とMaya-4

Maya-3とMaya-4

Maya-3とMaya-4のバスシステムは、Maya-1のバスシステムを継承しつつ、アンテナ基板を強化したものである。両衛星のミッションの1つは、アマチュア無線でパケット無線技術を利用して情報を伝達する民生APRS-デジピーターペイロードデモンストレーション(APRS-DP mission)を搭載することである。Maya-4に搭載された近赤外線カメラ以外のCubeSatは同一であり、これが唯一のミッションの違いとなった。

オーストラリアのBinar-1とともに軌道に投入されたMaya-3とMaya-4
(JAXA/NASA)

両方のCubeSatsは、異なる機会に10カ国にAPRSビーコンを送信することができた。また、8カ国の異なるアマチュア無線家が衛星を経由してデジピータに成功した。

「Maya-3とMaya-4 は、この国が国産衛星を製造する能力があることを証明しました。私たちは、留学で得た知識やノウハウを現地に伝え、普及させることに成功しました」

衛星を開発したエンジニアの一人であるレンゾ・S・ウィー(Renzo S. Wee)氏はこのように語る。

Maya-3と Maya-4の設計にかかわった科学者たち

グラディス・バハロ(Gladys Bajaro)氏は、衛星の開発で得た大きな教訓を次のように語った。

「私は、超小型衛星の開発および試験における様々な概念について、非常に多くのことを学びました。設計と試験の要件を適切に定義し、これらの基準を定期的に見直すことは、衛星の開発段階を通じて重要な決定を下す際の基礎となるため、重要です。しかし、それとは別に、チームメンバーとの信頼関係を築き、プロジェクトの目標を達成できるよう後押ししてくれました」

STeP-UPプロジェクトリーダーのポール・ジェイソン・コー(Paul Jason Co)氏は将来の計画を示した。「Maya-3およびMaya-4で、私たちは自分たちの手でキューブ衛星を作ることができることを証明しました。 私たちの宇宙産業の発展のために必要な専門知識は、地元で開発することができるのです。現在、Maya-5とMaya-6が進行中で、フィリピン宇宙庁(PhilSA) が宇宙研究のコアコンピテンシーと専門性の向上におけるナノサット・プロジェクト(ACCESS) を通じて継続される予定です」

CubeSatsは、2021年8月29日にSpaceX Falcon 9ロケットのドラゴンC208で国際宇宙ステーション(ISS)へ打ち上げられた。2021年10月6日、オーストラリアのカーティン大学が開発したBinar-1とともに、CubeSatsはKibo実験棟経由で軌道に投入された。翌10月7日のCubeSats からのビーコンを受信し、フィリピン大学ディリマン校の地上受信局(PUGAD) をリモートで通過する午前9時(PST)にデコードした。

Maya-3とMaya-4は、フィリピン科学技術省(DOST) が資金提供し、フィリピン大学ディリマン校(UPD) およびDOST先端科学技術研究所(DOST-ASTI)が実施した。フィリピン大学ディリマン校電気電子工学研究所(UPD-EEEI) の理学修士(MS) または工学修士(MEng) プログラムの超小型衛星開発コースは、日本の九州工業大学 と共同で、科学技術省の科学教育研究所 (DOST-SEI)からの奨学金支援を受けて実施されている。

九州工業大学と連携したBIRDSプロジェクトにフィリピンが参加した際の経験と学習が、Maya-3とMaya-4の開発につながった。現在、STeP-UPプロジェクトの第2陣の研究者たちは、Maya-2の遺産を引き継いで作られたMaya-5とMaya-6という2つのCubeSatを2023年の打ち上げに向けて開発中である。

Binar-1とともに軌道に投入されたMaya-3と Maya-4
(JAXA/NASA)
(提供:いずれもDOST)

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部