シンガポール国立大学(NUS)は、同大学の理学部生物学科の研究者らの研究によって、生息地によって異なる環境光が霊長類の種間の目の色の決定に関わる重要な因子であることを明らかにしたと発表した。10月15日付け。本成果は科学誌 Scientific Reports に掲載された。
これまで、霊長類の目の色の変異を説明する研究は、目が種間・種内コミュニケーションのための視覚信号であることに焦点を当てて進められていた。しかし、この考えは実験的研究からはほとんど証明されていなかった。一方で、生息地における環境光の違いから目の色の多様性が進化したのではないかという仮説は研究されていなかった。
今回、NUSの研究者は、シンガポールのリパブリック・ポリテクニック、英国のセント・アンドリュース大学、オランダのライデン大学の共同研究者とともに、77種の霊長類の数百枚の写真を収集し、目のさまざまな部分の明るさと色を測定し、解析を行った。その結果、赤道から遠い場所に住む種は、虹彩を包む組織である結膜が薄くなり、虹彩の色も緑色や青色に変化していることを明らかにした。
NUS生物化学部のアントニア・モンテイロ(Antónia Monteiro)教授は、「進化生物学の比較法を用いて、高緯度地域における多くの霊長類が独立に青い目を進化させたことを発見したことがこの研究の興味深い点です。このことはヒトの青い目の進化についての考え方にも影響を与えるでしょう」と話している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部