シンガポールの南洋理工大学(NTU)の科学者たちは、木材を「耐火」にする不可視性コーティングを発明した。
建設業界で直交集成板(板を繊維方向が直交するように積層接着したパネル)の需要が高まる中、木材の最大の課題の1つは可燃性である。未処理の木材は発火しやすく、燃えやすい。
直交集成板はコストが低く建設スピードが速いため、過去10 年間で需要が高まっている。しかし、現在、木造建築物の内部を火災から守るためには、難燃性のパネルや塗装のようなコーティングを使用する必要があるため、木材の自然な木目が隠れてしまう。
NTU が開発した新しい不可視性コーティングは、木材の自然な美しさを際立せると同時に、火災によって「活性化」される防火バリアを発生させる。コストは低く、使いやすく、延焼を効果的に抑え、燃焼時に煙がほとんど発生しない。
このイノベーションは、NTUitive(イノベーションおよび起業を扱うNTUの子会社)を通じて技術が公開され、商品化プロジェクトには NTUitiveギャップファンドから25 万シンガポールドル(約2500万円)の資金が提供された。
NTUのチームは現在、さまざまな企業とライセンス交渉を行っている。その中で、この革新的なコーティングをプロジェクトに応用し、直交集成板の保護に使用することを積極的に検討しているケースもある。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部