タイ国立科学技術開発庁(NSTDA)は、同庁の国家安全保障・デュアルユース技術センター(NSD)がディーゼル車の排ガスに含まれるPM2.5を除去する電気集塵装置(ESP)を開発したことを発表した。11月11日付け。
PM2.5は大気中に長時間浮遊し、大気汚染の原因となる微小粒子状物質で、濃度が高くなると人の健康や環境に悪影響を及ぼす可能性が知られている。近年、タイにおいてPM2.5汚染が問題になっている。
NSDはこれまでにフィルターの代わりに静電気を利用してガス流から微粒子を除去するESP空気清浄機を開発してきた。ESPは高い除去効率を発揮し、フィルターレスなので交換の必要もない。一方でディーゼルエンジンの排ガス速度は通常30メートル秒程度と速いことからESPの性能に悪影響を与え、10~20%の除去効率しか得られないという課題もあった。
今回開発した装置ではエアディフューザーで気流を分散させることで、ガスの流速を下げ、高い除去効率を達成した。ディーゼルエンジンのピックアップトラックでテストした結果、新型ESPを使用することで、トラックの最高速度での黒煙排出量が27%まで下がり、30%以下を求める新排出ガス規制を達成することも確認した。
研究チームは現在、パナス・アセンブリ・カンパニー・リミテッド (Panus Assembly Company Limited)社と共同で、複数の種類のトラックやバスなどの大型車両を使用した装置の性能テストを行っている。 NSDの研究員であるポーナノン・ポンパイブール(Pornanong Pongpaibool) 博士はこの装置について、「PM2.5を発生源で捕捉できるため、大気汚染を低減し、人々の健康へのリスクを最小化できます」と話している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部