2022年12月
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植物油の生産量増加へ、新たなバイオエンジニアリング技術を開発 シンガポール

シンガポールの南洋理工大学(NTU) は11月9日、同大学の科学者らがバイオエンジニアリングによって植物の果実や種子に含まれる油の収量を増加させることに成功したことを発表した。

(提供:NTU)

植物油の需要は、気候変動などにより世界的に増加することが見込まれている。業界の推計によると、植物油の世界市場は2021年に2414億米ドル(約33兆円)、2027年には3241億米ドル(約43兆円)規模に拡大するとみられている。

NTUの研究者らが開発し現在特許出願中のバイオエンジニアリングの手法を用いると、大豆、ヒマワリ、菜種、ピーナッツなどのすでに高い割合で油が含まれている主要産油作物の種子の油分を15~18%増加させることができる。植物油の需要増に対応するためには収穫量を増やす必要があるが、この技術を利用することで作物に必要な耕地面積を削減できることが期待されている。

主席研究員のガオ・ヨングイ(Gao Yonggui) 准教授とマー・ウェイ(Ma Wei) 助教授は「植物油は人間の食生活に不可欠であり、食品加工に広く使用されています。今回開発した手法は農業食品産業が国連の持続可能な開発目標に取り組む際にも有用です」と話す。

国連食糧農業機関(FAO)の新規食品の専門家コンサルタントを務め、NTUで食品科学技術分野を担当するマイケル・ファム・チェアーのウィリアム・チェン(William Chen) 教授は「食料安全保障の向上と世界の飢餓に取り組むために、このような栄養価の高い食品をより多く栽培する先進技術が必要になります」と見解を述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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