シンガポール国立大学(NUS) は、同学のヨン・シュー・トー音楽院(YST)に音楽を活用することでシンガポールおよび周辺地域の人々の生活を改善することを目指し、音楽と健康のためのセンター(CMH)を新たに設立したことを発表した。11月25日付け。
近年、学生のメンタルヘルスや高齢者の孤独といった問題が取り沙汰され、精神的、感情的、社会的な幸福はとても重要なテーマとなっている。既存の医療介入と並び、音楽はそれらの健康や幸福をサポートする代替的なアプローチとして、世界保健機関(WHO)や米国のホワイトハウスのような機関にも認識され、国際的に注目されている。
NUSのYSTに設立されたCMHは健康と福祉をサポートするエビデンスに基づく音楽プログラム、およびその効果を評価するための研究方法を開発する東南アジアで初めてのセンターとなる。NUSの強力な研究能力とアジア有数の音楽院であるYSTの地位を生かし、CMHはこの地域の音楽と健康に関する主要拠点となることを目指している。
キャット・アグレス 博士
(提供:いずれもNUS)
YSTの音楽認知に関する助教授でCMHの運営を指揮する予定のキャット・アグレス(Kat Agres) 博士は、「私たちは、音楽と芸術が、健康で繁栄したインクルーシブな社会を支えるために不可欠なものだという信念を持っています。CMHは音楽による精神衛生、学生の幸福、高齢化社会のケアという3つの分野に焦点を当てます。他の芸術、学術、政府組織と協力してこの分野での取り組みを推進できることをうれしく思います」と話す。
NUSの副学長(研究・技術)兼特別教授であるチェン・ツハン(Chen Tsuhan) 教授は「CMHを通じて、音楽、STEM、ソーシャルインパクトなど、NUSの専門的知識を最大限活用し、未来のための革新的な解決策を生み出すこと楽しみにしています」と期待を寄せた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部