シンガポールの南洋理工大学(NTU)は、同大学所属の研究者らが、使い捨ての包装紙や紙袋、段ボールなどの古紙からリチウムイオン電池の重要な部品に転換する技術を開発したと発表した。11月23日付け。
(提供:NTU)
研究者らは、原料となる紙から純粋な炭素に変える炭化と呼ばれるプロセスを使って、古紙の繊維を電極に変え、スマートフォンや医療機器、電気自動車(EV)に電力を供給する充電式電池の部品に転換した。研究チームは、紙を高温にさらして炭化させ、バイオ燃料にも使用できる純粋な炭素、水蒸気、油に還元した。炭化は、ごくわずかな量の二酸化炭素(CO2)しか発生しないため、環境に優しい手段でもある。
研究チームが作製した炭素のアノード電極は、優れた耐久性、柔軟性、電気化学的特性を示した。実験室で行ったテストでは、アノード電極は最大1200回まで充電と放電ができ、現在のスマートフォンの少なくとも2倍の耐久性がある。NTU製のアノード電極を使用した電池は、同等の電池と比較して、物理的なストレスに強く、衝撃試験における破壊エネルギーは最大5倍ほど大きいと評価された。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部