2023年01月
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サンプルを熱してしまった時に発見‐CT検査に感度匹敵、安価ながん検査法「ヒートリッチ-BS法」を開発 シンガポール

シンガポール国立大学(NUS) は、同大学の研究者らが、安価で高い感度を持つ新たながん検査法「ヒートリッチ-BS法」を開発したことを発表した。研究成果は学術誌 Science Advances に掲載された。

NUSのチェウ・リーフェン(Cheow Lih Feng)助教(右)ら

患者の血液に含まれるDNAの全ゲノム配列を決定して、がんを検出する方法はこれまでにも知られていたが、1検査あたり1000シンガポールドル(約10万円)程度と高価かつ労働集約的なため、定期的な検査に利用するのが難しかった。

新たに開発した方法では、血液サンプルを熱処理し、がん特有のバイオマーカーが多く含まれるCpGアイランドというゲノム中の1%程度の領域の検査を行うことで、50シンガポールドルという安価な検査を実現した。また、がん検査において最善の手法とされるコンピューター断層撮影装置(CT)に匹敵するほど高い感度をもつことも分かった。研究を率いたNUSのチェウ・リーフェン(Cheow Lih Feng)助教は「別の実験を行っている中で、研究者の1人がサンプルを熱してしまった時に、CpGアイランドがほぼ無傷で残り、他の部分は破壊される現象を発見した」と、開発のきっかけを明らかにした。

チェウ・リーフェン(Cheow Lih Feng)助教(右)ら
(提供:いずれもNUS)

シンガポール国立がんセンターでは、大腸がんの患者のモニタリングにヒートリッチ-BS法が試用されている。この方法によって検出されたがん特異的なDNAの量と、CTにより画像化された腫瘍の大きさには高い相関関係があることも判明した。ヒートリッチ-BS法はあらゆる種類のがんに共通で使える可能性があるとチェウ助教は指摘する。現在、研究チームは製薬会社やバイオテクノロジー企業と提携して、この方法を実用化する道を探っている。

2022年12月5日付け発表

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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