シンガポール国立大学(NUS)は1月25日、同大学の食品科学技術学科(FST)の学生らが、2年連続で北海道函館市の食材を利用した食品を日本の食品会社と共同で開発をしたことを明らかにした。
NUS FST の学生は、函館の食品メーカーと共同で、納豆クラッカー(左)とカボチャのシュークリーム(右)を開発した
NUS FSTと函館市は2021年からパートナーシップを結び、東南アジア諸国連合(ASEAN)展開を目指した製品開発を進めている。今年度、NUS FSTの学生は本プログラムのパートナーとなった、いずれも函館市にあるヤマダイフーズプロセシングとカドウフーズと共同で商品開発に取り組んだ。
チームはラボで製品の実験をした
ヤマダイフーズプロセシング社とFST3年生のチームは、納豆を素材としたクラッカーを開発した。チームリーダーのヤオ・シュアン(Yao Xuan)さんは「納豆独特の味、食感、においを海外の消費者にアピールするのは大変なことだった。なじみのないものですが、納豆の個性を残すことを重視した」と話す。
チームリーダーのヤオ・シュアン(Yao Xuan)さん(前列、右端)をはじめとするメンバーら
カドウフーズ社とFST3年生のチームは、函館近郊産の雪化粧かぼちゃの規格外品を使ったシュークリームを開発した。チームリーダーのタン・リャンヨン(Tan Liang Yong)さんは「最初は不良品を材料として渡されたと思ったが、市場に出回らない食材をアップサイクルして使用し、食品廃棄物を削減できる食品を作ることは重要なことだと感じた。食品開発のプロセスで、生産の規模拡大、規模の経済、マーケティングといった概念を学べた」と振り返る。
"Yukigeshou"かぼちゃのカスタードクリームを詰めた菓子
本プログラムを指導するFST上級講師のレオン・ライ・ペン(Leong Lai Peng)博士は「函館市と一緒に意義のあるプロジェクトをできないかと考えた。シンガポールの栄養確保に役立つ持続可能な食材を模索し、副産物の利用や原材料の価値を高める可能性も探った」と述べた。
函館市経済部食産業振興課の担当者は「函館市は、ASEANを有望な市場と考え、製品開発を促進するためにFSTとのパートナーシップ継続を決めた。プログラムに参加した企業側は、シンガポールの学生からフィードバックを得ることができ、日本人が思いつかないようなアイデアを得ることができた」とその手応えを語った。
開発に取り組むNUS FSTの学生チームのメンバーら
(提供:いずれもNUS)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部