シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)は1月19日、A*STARの情報通信研究機構(I2R)の研究員であるホンリアン・グオ(Hongliang Guo)博士が、既存のアルゴリズムよりも高速かつ正確なルートマッピングアルゴリズムを構築したことを発表した。中国の電子科技大学、シンガポールの南洋理工大学 の研究者との共同研究。研究成果は学術誌 IEEE Transactions on Intelligent Transportation Systems に掲載された。
WazeやGoogleマップのようなナビゲーションアプリは走行中の交通パターンをリアルタイムで分析し、最短ルートを提案する。しかし、現在のナビゲーションアルゴリズムは、混雑時の交通量の変動、予期せぬ道路状況、急な天候の変化などの要素を考慮してないため、アプリの推奨ルートが完全に信頼できるとは限らない。
グオ博士の研究チームは、ある場所から別の場所への経路を最小限のリソースを用いて探索する信頼性最短経路問題(RSP)に対する解として、ガウス過程経路探索(GP3)アルゴリズムを提唱した。GP3は3段階の経路探索で、実世界の要因を考慮し、より信頼の高い経路探索を行う。このアルゴリズムを米国のアナハイムやシカゴ、スペインのバルセロナ、中国の成都などの交通ネットワークに適用したところ、既存の最先端アルゴリズムよりも正確で高速であることが分かった。
グオ博士は「私たちのアルゴリズムは、これまでの標準的なアルゴリズムと比較すると、到着予定時刻から大きく外れることなく、ユーザーを最短ルートで目的地に案内することができる」と手応えを語った。研究チームはGP3モデルの実用化に向けてGoogleマップのような一般的なナビゲーションシステムに適用する取り組みを進めている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部