シンガポール国立大学(NUS)は2月2日、シンガポールやNUSが掲げる持続可能性目標を推進するために、NUS内にネットゼロを目指した初の建物群と、都市計画を改善することを目標とした学際的な多機能センターNUS Citiesを設立したことを発表した。
SDE1とSDE3は、教育のニーズ、健康、および厳しい持続可能性の目標を満たすために大幅に刷新された
(Photo by Finbarr Fallon/提供:NUS)
完成した建物群は、1970年代に建設されたSDE1とSDE3と、シンガポールの建築建設庁(BCA)によるグリーンマーク制度で2021年にプラチナ(ポジティブエネルギー)賞を受賞したSDE4からなる。SDE1とSDE3はNUSのケントリッジキャンパスで最も古い建物で、NUSデザイン工学部建築学科(NUS CDE)がCPGコンサルタンツ(CPG Consultants)社との産学連携により共同で設計し改修した。
スタジオ、ワークショップスペース、リサーチセンター、オフィス、学習スペース、パブリックスペース、ソーシャルスペースを備えたエネルギー効率と快適性が高い革新的な建物となっている。古い建物を改修して活用したことにより、解体し新築する場合と比べて、コストと二酸化炭素排出の両面で大きな節約につながった。また、建物の総エネルギー消費量は改修前の3分の1になると予測され、将来的な二酸化炭素排出量削減にもつながる。
NUS CDEに新たに設立されたNUS Citiesは、都市の管理、計画、運営を改善するための総合的で革新的な研究開発を行う。工学、物理学、公共政策、建築、医学など多様な分野から研究者や実務家が集まり、学部生や大学院生に充実したプログラムを提供するとともに、都市に関する研究やアドバイザリーサービスを展開するなど、学際的で多機能なセンターだ。
これらの取り組みはシンガポールの副首相兼経済政策調整相のヘン・スイキャット(Heng Swee Keat)氏により発表された。ヘン氏は「炭素排出量を改善しながら、新たなニーズに対応するために建築物をどのように再生すればよいのか、SDE1とSDE3は、一つの答えを示している。NUS Citiesは、キャンパスを越えて地域や世界に革新的な解決策を提供するための優れたプラットフォームとなるだろう」と述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部