タイ国立科学技術開発庁(NSTDA)は1月30日、NSTDAの国立ナノテクノロジー研究センター(NANOTEC)が、水試料中のマンガンイオンを定量するためのテストキットMn Senseを開発したことを発表した。
マンガンイオンは人間にとって不可欠な元素の一つであるが、水中に高濃度で存在する場合、味と色を劣化させるだけでなく、子どもの神経系へ悪影響を与える可能性がある。
Mn Senseは比色検出に基づく、シンプルで高速、高感度のマンガンイオン検出テストである。NANOTECの応答性ナノ材料研究チームが、マンガンイオンと反応し、無色から茶色がかったオレンジ色に変色する分子センサーを設計したことが、このキットの開発につながった。カラーチャートとの比較で目視により半定量的な結果を得ることもできるが、NSTDAの国立電子コンピューター技術研究センター(NECTEC)が開発した携帯型色彩計DuoEyeを使用すると定量的な測定も可能となる。さらに、DuoEyeで得られたデータはWi-Fi接続によりクラウドに転送、保存されるため、将来的にはデータへのアクセスや分析が可能となる。
本キットの開発は、タイ国家研究評議会(NRCT)が資金援助する水道の化学物質リスク評価のためのツールを開発するプロジェクトの一環として行われ、地方水道局(PWA)からフィールドテストの協力を受けて進められた。
Mn Senseの価格は輸入品の約3分の1に抑えられているため、PWAなどの水管理団体の運用コストの大幅な削減に貢献することが期待されている。また、本ツールはドイツのニュルンベルクで開催された国際見本市iENA2022で銀賞を受賞した。
(提供:いずれもNSTDA)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部