フィリピン科学技術省カラバルソン地方オフィス(DOST4-A)は、高級メロンの生産を増やすため、スマート農業の支援を行ったと発表した。国営フィリピン通信社(PNA)が2月10日付で伝えた。
DOST4-Aは最近、中小企業の技術力向上のための支援プログラム(SETUP)を通して、ケソン州ルクバンのブキッド・アラマの全自動温室に300万フィリピンペソの融資を行った。このプログラムは、資金を迅速に提供し、中小零細企業の生産性や競争力の向上を支援することを目指している。
DOST4-Aのディレクターであるエメリタ・バグジット(Emelita Bagsit)氏は、「一つのプロジェクトが地域における農業全体を強化するわけではないが、本プロジェクトは、全自動温室を導入することで季節の問題を解決する。これは、農業支援における科学技術の重要性を示す実例と言える」と語った。
バグジット氏によれば、地主のマイケル・カバレス(Michael Caballes)氏は、地元の農家に対して、スマート農業に関するセミナーやトレーニングを行っているという。ブキッド・アラマでは現在、日本の品種、イエローカナリア、ペルシャ、ピエルデサポ、イスラエル、ガリアなどの品種のメロンが栽培されている。
高級メロンの生産
(Photos courtesy of DOST-4A)
(提供:PNA)
ブキッド・アラマの全自動温室は1月30日に発売された。全自動温室は点滴灌漑システムを使って、メロン栽培用液体肥料を供給する。DOSTは、自動化されたシステムによって、ブキッド・アラマのメロンの生産能力を高めることができると報告する。カバレス氏は、「全自動温室は、生産能力、効率的な灌漑、施肥の管理において、改善が期待されるため、高級メロンの新たな品種開発にも投資できるようになる」と話す。
また、この温室システムでは、作物への養液供給に再循環システムを採用しているため、養液の流出が約15〜20%抑えられる。使用済みの溶液は貯水槽に戻され、再び作物に供給される。このシステムの導入は生産コストと人件費の削減にも役立つ。カバレス氏は「このシステムは、スタッフが行っている繰り返し作業の一部を行うことができる。その結果、作業員は通常業務で他の作業を行うことができるようになり、人件費や資材費を約20%削減することが可能になる」としている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部