2023年03月
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【AsianScientist】カンナビノイド乱用の追跡 シンガポール

シンガポールの研究チームは、国内の合成カンナビノイド(synthetic cannabinoids)の乱用を発見するために尿検査を開発した。以下は、AsianScientistによる詳報。

合成カンナビノイドの違法使用は、東アジアや東南アジアで公衆衛生問題になりつつあり、発作や死亡につながるケースも見られている。合成カンナビノイドの製造業者は、政府の規制から逃れるために化合物の化学構造を微調整し続けている。

これらのいわゆる新規カンナビノイドの乱用を根絶するために、シンガポール国立大学(NUS)とシンガポール健康科学庁(Health Science Authority of Singapore:HSA)の研究者が共同で、オキシジド(OXIZID)と呼ばれる新規合成カンナビノイドの新たなクラスの尿中マーカーを特定した。この研究結果は Clinical Chemistry に掲載された。

研究論文の筆頭著者であり、NUS薬学部の代謝プロファイリング研究グループ長であるEric Chan(エリック・チャン)氏はAsian Scientist Magazineに対し、「私たちはパンデミックが始まる前の2019年に代謝情報が公開されていない一般的な合成カンナビノイドの尿中バイオマーカーを調査するための共同研究を開始した」と明かす。

「チームは以前の研究を利用し、尿中マーカーを直ぐに発見できるように、一連の試験管内(in vitro)での代謝分析と、本物の尿検体の生体内 (in vivo) 予備スクリーニングから成る2つの戦略を開発した」(チャン氏)

代謝分析では、チームは分解産物または代謝産物を特定するために、4つの異なるオキシジド(BZO-HEXOXIZID、BZO-POXIZID、5F-BZO-POXIZID、BZO-CHMOXIZID)を特定のヒト肝酵素とインキュベート(培養)した。チームは各オキシジドで約42から51の代謝産物を発見し、そのうちの12から16が主要な代謝産物であった。

オキシジドの代謝プロファイルが確立されると、研究者はどの代謝産物が存在し、ヒトの尿中に排泄されるかについての研究を開始した。研究者は、匿名のオキシジド使用者から尿検体を採取し、記録された代謝物をヒト肝酵素実験の結果と比較した。

尿検体と細胞培養実験の結果は一致していた。4つのオキシジドのうち、BZO-CHMOXIZIDだけがすべての尿検体に存在していなかった。他の3つのオキシジドに関しては、親薬物と比較してより多くの代謝産物が検体中に検出された。この研究結果は、オキシジドの消費を発見するための規制機関の定期的なスクリーニング作業に役立つであろう。

研究チームは、シンガポールおよび世界中で発見されている新規合成カンナビノイドを常に注意を向けている。

チャン氏は「研究所は、代謝研究では地元の薬物乱用傾向の増加が示されている新規合成カンナビノイドを優先し、尿中バイオマーカーを見つけるための戦略を取る」と話す。

そのうえで同氏は「食品中の大麻の乱用を見つけるために同じ手法を使用できる」とし、「その影響は複雑であり、私たちは現在、そのような問題のいくつかを積極的に追求している。現実世界の問題を解決するための革新的なソリューション開発の最先端にいるNUSとHSAの共同研究は、学際的研究の重要性を示すもう1つの証拠である」と語った。

(2023年3月9日公開)

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