タイ国立科学技術開発庁(NSTDA)は2月6日、傘下の国立ナノテクノロジー研究センター (NANOTEC) が太陽光発電(PV)パネルの汚れ付着を防止するナノコーティング材を開発したと発表した。これは、NASTDA発のスタートアップ企業ナノ・コーティング・テック(Nano Coating Tech)社の初めての製品である。
(提供:NSTDA)
太陽光から発電を行うPVシステムは、持続可能でクリーンなエネルギーを供給する。タイでは、11月から4月までの乾季の時期に多くの発電を行い、PVシステムに投じた資金を回収する必要がある。しかしながら、乾季は大気中に大量の微粒子が浮遊する季節でもある。この微粒子の大気汚染によって、PVシステムの性能は、2カ月間で6~8%低下する。定期的にクリーニングすることによって、微粒子の問題は解決するが、専門業者への依頼やクリーニングに起因したPVパネルの破損は、運用コストを増加させる。
NANOTECの研究チームは、PVパネルの問題を克服するため、ナノコーティング材を開発し、メンテナンスの簡素化と発電量を改善した。
研究チームのメンバーであり、ナノ・コーティング・テック社のマネージングディレクターであるTanyakorn Muangnapoh博士は、「開発したコーティング材は、パネル表面の水分子が接触する角度を変えることで、撥水性と防汚性を高め、きれいなパネルを維持できるようデザインされている。このコーティング材を使用することよって、乾季における発電効率を5%アップさせ、パネルのメンテナンスに必要とする時間を減らすことができる」と説明した。
ナノ・コーティング・テック社は、ナノコーティング材の製造販売を行い、太陽光発電所やPVシステムを備える事業者を顧客として持つ。同社はPVパネルの検査を含めた、ナノコーティングの施工に関わるフルサービスを提供しており、2年以内に小売向けサービスの提供を考えている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部