シンガポールの南洋理工大学(NTU) は2月13日、AiTreat社 が開発した人工知能(AI)搭載マッサージロボットEMMAの新製品評価と実証実験を米国とシンガポールで開始予定であることを発表した。AiTreat社 は、NTUのイノベーション・エンタープライズ企業であるNTUitive 社を通じて支援した。
アルバート・チャン(Albert Zhang) 博士(右)ら
(提供:NTU)
AiTreat社は、NTUのダブルディグリープログラム (生物医学と中国医学)の卒業生であるアルバート・チャン(Albert Zhang) 博士が2015年に設立した会社で、2022年に数百万シンガポールドル のシリーズA資金調達ラウンドを完了し、現在は2023年後半のシリーズA+資金調達の計画を進めている。EMMAは、シンガポールやその他の国々において、熟練のマッサージ師の人手不足緩和、複雑ではない症例における理学療法士の業務補助、高品質の治療と治療費低減への貢献を目的に開発された。
EMMAの新製品評価は米国の医療機関メイヨークリニック(Mayo Clinic) で実施される予定だ。さらにシンガポールでは、慢性腰痛の治療における、中国伝統医学で用いられる手技療法である推拿などの既存の治療法の効果とEMMAの効果を比較するランダム化比較試験(RCT)が計画されている。RCTはNTUの生物医学・中国医学プログラムとシンガポール総合病院 が共同実施する。
メイヨークリニックでは共同研究のスタートとして、EMMAのデモンストレーションを行う4日間のワークショップが開催された。ワークショップではNTU生物科学部の生物医学・中国医学部長であるリンダ・チョン(Linda Zhong) 准教授がロボット推拿の有効性と安全性に関する臨床研究計画案を発表し、参加者との間で議論が交わされた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部