2023年03月
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うつ病や薬物依存症に関する研究への支援を強化 フィリピン

フィリピン科学技術省(DOST) は、うつ病や薬物依存症に関する研究に対して少なくとも6,700万フィリピンペソの資金を割り当てたことを発表した。国営フィリピン通信社(PNA)が2月13日に伝えた。

(Photo courtesy of DOST)
(提供:PNA)

今回対象になった2つの研究プロジェクトは、「うつ病様ラットモデルにおける各種サイコバイオティクス と抗うつ薬の薬物動態学的および薬力学的相互作用の評価」と「げっ歯類モデルを用いた青少年期のトルエン中毒の影響調査 」だ。

1つ目のプロジェクトでは、うつ病様ラットモデルを用いて、サイコバイオティクスを抗うつ薬、セルトラリン、フルオキセチンと一緒に投与した場合の薬物副作用の防止と治療効果を得るためにデータを集め、行動学的反応、生化学的数値、薬物濃度などの測定も行う。サイコバイオティクスはメンタルヘルスに良好な影響を与える微生物群であり、近年注目をされている。

2つ目のプロジェクトでは、フィリピンの貧困層で大きな問題となっているトルエンベースの薬物(通称ラグビー) について薬物使用中止後の行動学的、神経学的影響の評価を行っている。どちらの研究も2024年1月まで継続される予定だ。

DOSTのリア・ブエンディア(Leah Buendia) 次官は「これらの研究は、げっ歯類モデルで新しい治療法を発見するのに役立ち、将来的にはトルエン依存症患者の治療を考える上で重要な知見となる。また慢性的なトルエンへの曝露により、薬物摂取の中止後に、神経系にどのような影響が残るのか理解することにもつながる。私たちは、国民の健康、安全、幸福を支援する、インパクトのある投資をさらに支援したいと考えている」と取り組みの意義を強調した。

提供された資金には、フィリピン大学マニラ校の国立衛生研究所(UP-NIH) の動物実験室の改修費用が含まれている。DOSTは今後もUP-NIHのインフラとリソース拡張のために、これらのプロジェクトの支援をしていく予定だ。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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