2023年03月
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牛のけがを減少へ、滑りにくい畜産用ゴム製床材開発 タイ

タイ国立科学技術開発機構(NSTDA)は2月20日、NSTDAの国立金属材料技術研究センター(MTEC)が環境に優しく、牛のけがも減少させる牛舎用ゴム製床材を開発し、フィールドテストを実施していることを発表した。

タイでは95%以上の酪農家がコンクリート床の一般的なストール牛舎を使っている。コンクリート床は硬く摩耗しやすいため、脚の疲労や異常歩行の発生につながり、乳量に影響する病気を引き起こす可能性が知られている。洗浄のために頻繁に水を使用することで藻類が繁殖し表面が滑りやすくなるので、牛が転倒する場合もある。転倒によりけがをした牛は、乳量が低下し早々に食肉処理されることとなる。コンクリート床材の代替として、柔らかい床材の使用も行われているが、工業規格に適合したラバーマットは高価なものとなっている。一方、安価なラバーマットは寿命の短い発泡剤でできているため、動物の健康や環境に悪影響を及ぼす有害化学物質を多く含む傾向があった。

MTECの環境配慮型ゴム製品研究チームは、環境に優しい牛舎用ゴム製床材の開発プロジェクトに取り組んでいる。ゴムの配合には高級酸化亜鉛を使用するため、ゴムマットには微量の酸化亜鉛が残る。酸化亜鉛は有毒な物質として知られているが、ゴムに有益な特性を付与するために必要なものだ。研究チームは製品の機能性を保ちながら、動物の健康や環境に対する安全性を確保するための適切な配合を検討した。

開発した新規ゴム製床材は畜産用ゴムシートの規格に適合することが確認されている。研究チームはタイのカセサート大学獣医学部のテーラ・ルックワムスク(Theera Rukkwamsuk)准教授と共同で、ラーチャブリーのウトゥンポン農場にてフィールドテストを実施している。今年で4年目となるこのテストでは、開発したゴム製床材は耐久性があり、牛のけがを効果的に軽減でき、乳質への悪影響もないことが示されている。今後はタイ酪農振興公社(DPO)と共同でさらなるフィールドテストを実施する予定だ。

研究チームのメンバーであるプチョン・タプトン(Puchong Thaptong)博士は「このゴム製床材は、動物の健康と環境に良い影響をもたらすだけでなく、天然ラテックスを50%含むため、タイのゴム農家の支援にもつながる」と話した。

(提供:いずれもNSTDA)

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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