タイ国立科学技術開発機構(NSTDA)は3月13日、微生物利用技術の実現可能性を評価することを目的としたパイロットスケールプラントで、ラボスケールから産業スケールへの橋渡しの機能を持つBIOTECバイオプロセス施設(BBF)を設立したことを発表した。
(提供:NSTDA)
タイは生物多様性に富んだ地域で、多様な植物、動物、微生物が生息している。微生物は約15万〜20万種存在すると推定され、世界の微生物の8〜10%を占めると考えられている。一方で、これらの微生物の潜在能力を十分に生かすためには研究と産業の間のスケールアップに課題があった。
新設されたBBFは微生物利用に関する研究を産業レベルまでスケールアップするパイロットプラントで、国際的政府間機関であるコーデックス委員会による適正衛生規範(GHP)や危害要因分析重要管理点(HACCP)といった国際基準に準拠して設計されている。産業界のパートナーと共同研究を行い、サービスを提供することが可能で、微生物研究の商業化を加速し、BCGエノコミー(バイオ・循環型・グリーンを重視する新経済モデル)の成長を促進することが期待される。
NSTDA総裁のスキット・リムピジュムノン(Sukit Limpijumnong)教授は「NSTDAのコアビジネスの第1段階が、機能性食品や化粧品業界に対して機能性成分探索のワンストップサービスセンターだ。BBFは国際的な要件を満たす高品質な製造により、微生物利用研究と産業のイノベーションギャップの解消を狙う。BBFの研究チームはすでに国内外の30社以上の企業と協力した経験がある」と表明した。
BIOTECのエグゼクティブディレクターであるウォノップ・ビセサンガン(Wonnop Visessanguan)氏は「BBFはGHPとHACCPに準拠した食品グレードの製造施設において、遺伝子組み換え(GM)や非GM微生物の微生物生産を開拓する政府機関です。BCGモデルのもと、経済効果の創出、タイ産業の競争力向上、国外技術への依存度低減、サステナビリティに関する課題解決の推進を目指す」と述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部