2023年04月
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アルツハイマー病の新たな治療法へ、脳の免疫細胞の代謝スイッチを発見 シンガポール

シンガポールの南洋理工大学(NTU)は3月15日、NTUの研究者らがアルツハイマー病治療の標的となりうる、脳の免疫細胞の代謝スイッチを発見したことを発表した。

(提供:NTU)

アルツハイマー病は高齢者に多く発症し、思考力が低下する病気である。既存の治療方法はあるが、決定的なものは見つかっていない。

今回、NTUの研究者らは脳内の免疫細胞として知られるミクログリアの代謝スイッチを発見した。ミクログリアは、脳内から死細胞を除去する「掃除屋」として働くことで、脳内環境の維持に重要な役割を果たしている。このスイッチをオフにすることでミクログリアが蓄積し、アルツハイマー病の原因となる有毒なタンパク質を取り除くことができた。アルツハイマー病の患者はミクログリアの機能が低下することが知られている。今回発見した代謝スイッチを制御することで非効率な代謝を抑え、患者の免疫細胞の清掃機能を回復できる可能性がある。

研究を率いたNTUのリーコンチアン医科大学のアンナ・バロン(Anna Barron)准教授は代謝スイッチの発見について、「脳内の免疫細胞の代謝に特異的に作用するアルツハイマー病の治療薬を開発する基礎となる」と研究の意義を語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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