2023年04月
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大麻草に含まれる「カンナビシオール」(CBD)の溶解性を改善、新商品開発 タイ

タイ国立科学技術開発機構(NSTDA)は3月27日、NSTDAのナノテクノロジー研究センター(NANOTEC)が、大麻草として知られる植物のアサ(Cannabis sativa L.)に含まれるカンナビジオール(CBD)の溶解性と有効性を改善したCBD装填のナノ粒子を開発したと発表した。

CBDは、抗酸化作用や抗炎症作用があり、その薬効成分に高い関心が集まっている。CBDには中毒性がなく、神経毒性が低いことが知られている。

一方、CBDは溶解性が低く、体への吸収が十分行われないため、生体への効果が低く、経皮送達も期待できないという課題がある。また、CBDは不安定な物質で、温度や光、pH、酸化により、分解が促進されることも難点だ。

NANOTECナノカプセル化研究グループのカタウット・ナムディー(Katawut Namdee)博士は、今回の研究について、「CBDの限界を克服するため、CBDを装填したナノ粒子を開発した。ナノ粒子によって溶解度が向上したCBDは、薬用化粧品を含む幅広い製品に適用できる」と説明する。CBD装填のナノ粒子は、天然のCBDと比較して、毒性が低く有効性が高いため、幅広い応用が期待される。

東南アジア諸国連合(ASEAN)は2019年2月、医療と学術目的の大麻の使用を合法化して以来、タイではCBDの抽出物を含む製品の普及が進んでいる。

ザ・グローバル・カンナビス・レポート(The Global Cannabis Report)によると、世界の大麻市場は2024年までに1,039億米ドル規模に成長し、その内訳は60%が医療用、40%が娯楽用と予測される。また、世界的な食品メーカーや飲料メーカーは、CBDを商品に取り入れることを検討しており、大麻市場はさらに成長すると見込まれる。

タイの調査会社であるクルンスリ・リサーチ(Krungsri Research)社は、タイ国内の大麻市場は、2025年までに157億7千万バーツ規模に成長し、年平均成長率は126%と予測している。

(提供:いずれもNSTDA)

研究チームは、CBD装填のナノ粒子の幅広い用途を実証するため、ジェルやクリーム、トニックなどにCBDを添加した製品を開発した。この技術は、2023年8月28日から31日に開催される第8回NASTDA Annual Conference 2023(NAC2023)で展示される予定。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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