2023年04月
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果物の皮のリサイクル技術で、使用済み電池からコバルト、リチウム、ニッケル、マンガンを回収 シンガポール«動画あり»

シンガポールの南洋理工大学(NTU)は3月28日、シンガポールの電池処理事業者であるセキュア・ウエイスト・マネジメント(Se-cure Waste Management)社と提携して、リチウムイオン電池のリサイクルの商業化に向けたパイロットプラントを運用していると発表した。

果物の皮を利用したこのリサイクル技術により、使用済み電池からコバルト、リチウム、ニッケル、マンガンなどを回収する。この技術の概念実証は終えており、パイロットプラントは、果物の皮由来の溶媒と混合した最大2000リットルの使用済み電池を処理する能力を持つ。

NTU SCARCE(Singapore-CEA Alliance for Research in Circular Economy)に所属する研究者は、電池廃棄物の問題に取り組むため、果物の皮だけでなく、その他のバイオマスの利用も検討している。

電池の廃棄物は2030年までに、1100万トンに達すると予測されている。しかし、リチウムイオン電池のリサイクルは、世界的にも進んでおらず、その割合は5%未満となっている。「環境に優しく、簡単にスケールアップできるこのリサイクル技術は、電池廃棄物の切迫した問題解決のニーズに応える」とNTU SCARCEの研究者は説明する。

電池を処理するパイロットプラントは、シンガポールのパイオニア・ロード・ノース通りから外れたネイタル・ロード沿いに設置され、2022年第4四半期から稼働している。NTUとセキュア・ウエイスト・マネジメント社のチームは2023年の1年間を使って、使用済みの電池から有用金属を回収するプロセスの最適化に取り組む。またチームは、商業化を目標に、パイロットプラントの技術的性能と経済的実行可能性を評価する予定。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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