2023年05月
トップ  > ASEAN科学技術ニュース> 2023年05月

高齢化社会を支える2つのエクソスーツを発表 タイ

タイ国立科学技術開発機構(NSTDA)は、NSTDAの国立金属材料技術研究センター(MTEC)が、アクティブ・エイジング向けに開発されたエクソスーツ(exosuit=人間の動作や姿勢をサポートする衣服)を紹介するイベントを開催した。3月31日付け発表。

健康システム研究所(HSRI)、タイ科学研究・イノベーション(TSRI)、競争力プログラム管理ユニット(PMUC)、工業省工業経済事務局(OIE)との開発。

イベントでは、MTECが開発した2つのエクソスーツが発表された。運動可能な高齢者のためのモーションアシストボディスーツ「レイチェル」は一日中着用することで、運動能力を高め、日常生活におけるケガのリスクを軽減することができる。HSRIとTSRIからの助成を受け、電動エアポンプの代わりに特殊な繊維や加工技術を使った人工筋肉を取り付けることで一日中着用できる軽いボディスーツを実現した。

(出典:いずれもNSTDA)

「ロッソ」は、医療従事者や高齢者の介護者向けに設計されたモーション・アシスト・エキソスーツで、PMUCによる助成を受けて開発された。モーション・トラッキングと警告システムにより、重いものを持ち上げる際に背中をサポートする。タイの熱帯気候に適した軽量で通気性の良い素材で設計され、ボディスーツの製造コストを低く抑えるため、原材料を全て国内調達できるようにし、製造工程も複雑にならないように配慮もされている。

MTEC副事務局長のクリタダ・プラパコーン(Kritsada Prapakorn)博士は「2022年にタイが高齢化社会となるのに伴い、外骨格研究プログラムを設立しました。このプログラムは、移動を容易にするとともにケガのリスクを軽減し、かつ手頃な価格で製造可能な外骨格の作成を目的としています」と指摘。その上で、「MTECと、シリラジ病院医学部整形外科、マヒドン大学スポーツ科学技術学部、パターンIT(Pattern IT)社などのパートナーは、ユーザー中心設計と、ウェアラブル動作追跡システム、空気圧人工筋肉、骨格・筋肉シミュレーションなどのさまざまな技術を採用して、動作支援型ボディスーツのプロトタイプを開発しました。この性能は、OIEから提供された資金で設立されたウェアラブルテクノロジー・コンサルティング・サービス・ラボでテストされました」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

上へ戻る