シンガポールの南洋理工大学(NTU)は4月5日、同大学の研究者らがデータセンター用スプレー冷却システムのプロトタイプを開発し、エネルギーコストと二酸化炭素(CO2)排出量を最大26%削減できる可能性があることを発表した。
(出典:NTU)
現在、シンガポールのデータセンターで使用される電力は、国の総電力消費量の7%を占めている。クラウドコンピューティングの需要が高まる中、データセンターのエネルギー消費とCO2排出量を削減する持続可能なソリューションを見つけることが重要だ。
データセンターに使われるサーバーの中で最も高温になる部品はCPU(中央演算処理装置)だ。空冷式の専用ヒートシンクだけでなく、データセンター自体も低温の空調で冷やす必要がある。
今回、研究者らが開発した方法は、非導電性流体の特殊なスプレーを用いてヒートシンクなしでCPUを直接冷却するものだ。さらに流体を回収する閉ループシステムにより、冷却水循環装置やエアコンが不要となる。CPUの高速化は温度上昇を引き起こすことから、今回のシステムを用いることができれば、より高速な運転が可能となり、CPUの性能向上にもつながる。さらにスプレー冷却システムは熱除去能力が高いため、従来の空冷式データセンターに比べ、30%少ない面積で設置が可能である。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部