シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)は4月13日、シンガポール・ヘルス・サービス(SingHealth)と、より良い患者ケアのためにヘルスケア研究とイノベーションプロジェクトのトランスレーション、展開、商業化を加速させるヘルスケア・トランスレーション・パートナーシップ(HTP)を提携したことを発表した。
両者が共同で出資するこのパートナーシップは、医療技術、データサイエンスと人工知能(AI)、ヘルスケアサービス・イノベーションという3分野に焦点を当て、プロジェクトに対して800万シンガポールドルの資金を提供する。
HTPは、SingHealth Duke-NUS アカデミック・メディカル・センター(AMC)とA*STARの共同プロジェクトを促進するための枠組みを確立し、リソースとサポートシステムを統合することで、研究成果を社会実装することを目的としている。具体的には専門家同士の重要な橋渡しを行い、臨床医、ヘルスケアイノベーター、研究者、産業界のパートナーが協力できる環境をつくり研究や商業化を加速させることを狙う。
HTPのもとで支援される最初のプロジェクトは、2019年に世界保健機関(WHO)が強調した、優先的な目の疾患である眼表面疾患(OSD)に対応するテラヘルツ高精細眼球解析である。
さらに、デジタルヘルス分野におけるSingHealthとA*STARの両社の長年のパートナーシップに基づき、SingHealth傘下のシンガポール眼科研究所(SERI)とA*STARのハイパフォーマンス・コンピューティング研究所(IHPC)も提携して、アイケアにおけるAI研究とデジタルテクノロジーの採用を推進するSERI-IHPCジョイントラボを設立した。
HTPと同時に発表されたこのジョイントラボは、SingHealth、A*STAR、その他の業界パートナーとの間でAIモデルのトレーニングやテストを行う臨床的・技術的AIサンドボックスなど、ヘルスケアにおけるエンタープライズAIを支援・促進するためのデジタルインフラ開発をサポートする予定だ。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部