シンガポール国立大学(NUS)は4月22日、海上通信用超小型衛星ルメライト4(Lumelite-4)が、インドのシュリーハリコータにあるサティシュ・ダワン宇宙センターからシンガポール時間4月22日16時50分に無事打ち上げられたことを発表した。同衛星は、NUSとシンガポール科学技術研究庁(A*STAR)の情報通信研究所(I2R)との共同開発。
STARのディレクター・ロー・ケイ・スン(Low Kay Soon)教授(右)ら
ルメライト4の開発はNUSデザイン工学部(CDE)の衛星技術研究センター(STAR)とA*STARのI2Rが共同で行った。STARはNUSが特許を持つ耐障害性を備えたモジュール式で拡張可能な衛星のバスシステムを用いて超小型衛星を設計・製造し、I2Rは通信ハードウェアを開発した。この取り組みは、東南アジアで初めて衛星を利用した海事用高性能超短波(VHF)データ交換システム(VDES)の開発と実証実験を行うものとなる。
NUSとA*STARのコラボレーション
(提供:いずれもNUS)
現在、国際航海中の船舶にはトランシーバーを用いて、船舶の識別、位置、航路、速度等の情報を放送し、海事当局が船舶の動きを追跡・監視することで衝突を開始する自動システムAIS(Automatic Identification System)が装備されている。今回打ち上げに成功したルメライト4が搭載しているVDESは、現行のAISシステムに比べてより広い帯域幅、範囲、容量、セキュリティ、柔軟性、グローバルカバレッジなどの利点がある。
STARのディレクターであるロー・ケイ・スン(Low Kay Soon)教授は「ルメライト4の打ち上げ成功は、NUSの宇宙への旅に新たな章を刻むものです。このミッションの成功により、小型衛星の革新的な宇宙技術ハブとしてのシンガポールの地位はさらに強化されるでしょう」と述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部