シンガポールの南洋理工大学(NTU)は4月24日、NTUの教員養成機関である国立教育研究所の研究者らが、若者が学校外でビデオゲームをする際の学びを調査し、ライフスキル教育におけるゲーミフィケーションの効果について発表したことを報告した。研究成果は学術誌Research and Practice in Technology Enhanced Learningに掲載された。
ビデオゲーム「The Walking Dead Season1」の一場面 ©Skybound Entertainment.
(出典:NTU)
ビデオゲームは多くの若者にとって一般的な娯楽である。すぐにフィードバックを与えることができ、失敗しても再挑戦できる安全な空間を提供できるゲームの特性を教育や学習にどのように利用できるかについて熱心に研究されている。一方で、学校外で若者がビデオゲームをしているときに何を学んでいるかについてはほとんど調査されていなかった。
国立教育研究所の教育研究者であるビクター・リム(Victor Lim)准教授とトー・ウェイミン(Toh Weimin)博士は20代前半の男子大学生2人がそれぞれ市販のビデオゲーム(1人はThe Walking Dead Season1、もう1人はThe Last Of Us)をプレイする様子から、学校外でのビデオゲームを通じた学びについて考察した。その結果、学生たちはビデオゲームを通して学校や職場で役立つスキルを示していることが分かった。
両者とも、ゲーム内での課題解決のために段階的な計画を立てるなどの批判的思考力を示し、さまざまなゲームキャラクターの視点を理解することで共感性を示した。また、1人の生徒は言語、視覚、行動など、ゲーム内のさまざまな手がかりを組み合わせて処理し、目的を達成するマルチモーダルリテラシーを発揮していた。
これらの結果について研究者らは「教員はゲームを使って生徒の学習活動をデザインし、生徒がゲームを通した学びを得ることを支援することができます」と述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部