タイ国立科学技術開発機構(NSTDA)は5月22日、NSTDAの国立ナノテクノロジー研究センター(NANOTEC)の研究チームがバンコクの3地点で粒子状物質(PM)を調査したところ、自動車の排気ガスがPM2.5の主要な原因であることが判明したと発表した。
本研究プロジェクトはタイ国家研究評議会から資金提供を受け、バンコクにおけるPMのサイズ分布と化学組成を決定することを目標とし、NANOTECの主任研究員であるウィヨン・カンワンスパモンコン(Wiyong Kangwansupamonkon)博士が主導した。
NANOTECのナノキャラクタリゼーション研究チームの研究員であるラッタポーン・センムアンチン(Rattaporn Saenmuangchin)博士は「PM2.5を2019年のタイの国家課題とする閣議決定を受け、タイの公害管理局(PCD)は微粒子汚染を解決するための行動計画を策定しました」と指摘。本プロジェクトでは、バンコクのアリー、ディンデーン、バンナにあるPCDの気象観測所で、金沢大学の古内正美博士らが開発した、さまざまなサイズのPMを収集できるナノサンプラーという装置を使ったという。
(出典:いずれもNSTDA)
2021年に行われた調査の結果、1月から3月にかけては高いPM濃度(80~180µg/m³)、4月から9月にかけては低いPM濃度(20~85µg/m³)、そして10月から12月にかけてPM濃度がまた上昇する(40~190µg/m³)ことが分かった。さらにPM2.5の主な発生源は自動車の排気ガス(48%)であることが確認された。
ラッタポーン博士は「本研究は、政策立案者による公共政策の設計や保険当局による粒子状物質が健康に与える影響の調査に利用可能な詳細なデータを明らかにしました」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部